例会

   会長御挨拶

第57代会長    

L. 濱 田  徹


 2022年10月19日、私は、前年度のキャビネット会計として、前ガバナーL.金沢幸一に同行し、小児がんの治療に従事している沖縄県立南部医療センターを訪れました。前年度、337D地区(鹿児島県、沖縄県のクラブで構成される組織)は、地区全体でヘアドネーションに取り組んでおり、今回の訪問の目的は、その活動を通じて作成されたウィッグを小児がん患者に寄贈することでした。
 それまで、小児がんの患者さんやご家族に接した経験のなかった私は、正直に申しますと、地区をあげて取り組んでいたヘアドネーションの活動もどこか他人事で、現地に行くことさえ、「役目の一つ」という気持ちが大きかったように思います。
 そんな中で、いざ現地に赴くと、私とさほど年齢の変わらない母親が、やつれた硬い表情で病院を出入りする姿を目にしました。手にしていた荷物などから察するに、おそらく、子どもさんが入院されていたのだろうと思います。
 私にも2人の子どもがいますが、私自身はこれまで、子どもたちの「素晴らしい未来」ばかりを考えてきました。しかし、この現場を目にしたことで、「健康」という「人並みのささやかな幸せ」を心から願う人々や、その幸せすら遠い存在と感じる方々がいることを実感しました。
 ウィッグを寄贈する際、病院の先生や看護師から、「以前と比べて、抗がん剤で病気を克服できる子どもたちは飛躍的に増えている」ということをお聞きしました。その一方、「治療で髪の毛を失うことは、幼い心に大きな負担となってしまう」ということも耳にしました。
 私たちが寄贈したウィッグは、本物の髪の毛で作られていて、ドライヤーでセットしたり、アイロンで巻いたりと、おしゃれを楽しむことができます。このウィッグは、子どもたちの表情を明るくさせて、友だちと会いたいという心の原動力になり、「生きる力」を力強く後押しするのだそうです。
 この話を聞きながら、先ほどのやつれた硬い表情の母親の姿を思ったとき、私は不意に涙がこぼれそうになりました。ライオンズクラブの「奉仕」の価値を、今までで一番感じた瞬間でした。
 We Serve 明日のために
 私たちの「奉仕」は、困難に直面する方々にとって希望や安らぎをもたらすことができるものです。そして、私たちの「奉仕」は、未来を担う子どもたちの人生に豊かな彩りを与えることもできます。
 そのような「明日」に思いを馳せながら、真心のこもった「奉仕」をして参りましょう。
優しい世界の支え手になろう。
 鹿屋ライオンズクラブの一番の自慢は、会員の皆様です。一人ひとりが本当に穏やかで優しく、思いやりに溢れています。だからこそ、鹿屋ライオンズクラブには、「優しい世界」という言葉が良く似合っています。
 お互いに支え合いながら、「奉仕」を通じて一つでも多くの笑顔を生み出し、「優しい世界」を広げて参りましょう。
 末尾になりますが、鹿屋ライオンズクラブの歴史と伝統に恥じぬよう、精いっぱい会長職をつとめさせて頂きます。一年間、どうぞよろしくお願い致します。

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